2014/05

The Long Goodbye

つい最近、NHKの土曜ドラマで『ロング・グッドバイ』をやっていた。原作はかの有名なアメリカの作家レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の金字塔。1953年の小説だそうだ。旧い話だなー。

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推理小説好きなら誰でも聞いたことのある、私立探偵フィリップ・マーロウのシリーズ。僕はかなり昔、早川から出ていた清水俊二訳の『長いお別れ』で読んだ。ずいぶん前のことなのでストーリーはすっかり忘れてしまったが、おかげでドラマを見る上では新鮮味があって、かえって良かったかも。最近は村上春樹訳というのもあるらしい。こちらは未読。村上ファンは多いので売れてるそうだが、中には清水訳のほうが良かったという人も。余談だが僕は村上春樹の小説はまあまあ読んでる方だが、「ハルキスト」ってのはどうも気持ち悪いw

フィリップ・マーロウシリーズは、いわばハードボイルド小説の古典みたいなものらしい。後にたくさん生まれる探偵小説のある種の原型を確立した。トレンチコート着ていつもタバコくわえてる、あのありがちな探偵のイメージ。酒と女に弱くて、外見は無愛想、クールでいながら人情家、都会の雑居ビルに地味な事務所を構えてる、といった感じでしょうか。松田優作の『探偵物語』なんかもマーロウのイメージにかなり影響されてるんでしょうね。そういえば昔見た『エンゼル・ハート』のミッキー・ローク演じる探偵も、原型はこのマーロウなんでしょう。でもあれはハードボイルドを装ったオカルト映画でしたけど。

映画の中のフィリップ・マーロウ、古くはハンフリー・ボガードとかロバート・ミッチャムが演じてた。『ロング・グッドバイ』を原作にした映画では、エリオット・グールド主演のユニークなマーロウものが有名なんだそうです。僕はまだこの映画を見ていないのですが、小西康陽がどこかで激推薦してた覚えがある。今度のNHKドラマを見てぜひ映画も見てみたくなりました。他の旧いマーロウものでは、ミッチャム主演の『さらば愛しき女よ』は見ましたが、やはりなかなか渋かったです。ずっと昔の恋人を探していたチンピラの男が、最後に実はずーーと女に裏切られ騙されていたことに気づいて死んでいくのがなんとも可哀想。チャンドラーの小説って、美しい悪女が主軸になったストーリーが多い気がします。それはこの『ロング・グッドバイ』も同様。

さてNHKドラマの方は、舞台を都会からまだ戦争の記憶が消えない1950年代の日本に置き換えていました。 街の時代がかった感じ、きっと当時は最先端だったろうクラシックカー、黒電話などの昭和な小道具などなど、映像の雰囲気づくりはかなり凝っていた。 主役たるフィリップ・マーロウは増沢磐二という和名になっていて、浅野忠信が演じてます。ボソボソっとした喋り方で、マーロウ的探偵の雰囲気を醸し出しててなかなかGood。 原作のテリー・レノックスの役は、原田保という名前で綾野剛がやってました。これもなかなかはまり役。ラストの細部は言いませんが、実は生きていた原田保が違う名前で出てきてすごいエンディング。肝心の悪女アイリーン・ウェイドは上井戸亜以子という名で古田新太演じる作家の嫁。小雪が演じてました。僕的には、小雪に悪女的なイメージがそれほど濃くないのでこの配役は微妙かと。難を言えば殺された女優の姉役だった冨永愛がどうにも上手く無い。モデル出身だからしかたないでしょうかね。その他半沢シリーズで大ブレイクの吉田鋼太郎や滝藤賢一(重要な新聞記者の役)、今やシリアスドラマで必ず見る遠藤憲一。他にも石田えりとか小籔とか出てました。あとちょっとだけ出てくる看護婦役でエド・はるみが居たのは気付きました?

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ちなみに『ロング・グッドバイ』はハードボイルド小説に社会批評を含ませたという意味でも先駆的なのだそうです。原作には何とか言う大富豪が出てきますが、ドラマでは柄本明が演じる原田平蔵という政治家という設定。柄本明はもはや俳優として抜群に上手い。自分の娘が殺された事件を、政界進出の邪魔と見なしてもみ消しにかかり、増沢磐二に硬軟とりまぜた圧力をかけてきます。原田平蔵は、当時街頭テレビが現れ始めた日本で、人々に電波を通じた夢を与える政治家。力道山の白黒映像が懐かしい!

劇中、原田平蔵の選挙ポスターに原発推進派を思わせるスローガンが並んでいるのに気づきました。これは私の想像にすぎませんが、原発、テレビの有力政治家と来れば、原田平蔵のモデルは読売新聞の社主だった正力松太郎なのではないでしょうか?

この記事へのコメント
正力の日本テレビを「全国放送」を認めていれば、どうなったのかと思う時があります。
せめて地デジの時に「県域放送」の縛りをやめ、「電波の届く地域=経済圏」として、生活実態にあったローカル放送のエリアにすればよかったのではないか。
例えば山口県西部・大分県北部は北九州局のエリアとする。
愛媛県の南海放送なら「ラジオだけの南海放送」「日本テレビ松山局」に分立させ、全国放送の日本テレビの中で、全国への配転を可能にする。
その方がよかったんじゃないかと思います。
Posted by 日田こまち at 2014年07月27日 23:46
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